美容室リフォーム案件
熊本市建軍商店街傍に美容室のリフォーム工事の御依頼を頂き、この度オープンされました。
元々は婦人服販売店、その前は美容室だったという案件。
美容師として独立を決意されたクライアント様からのご依頼。
人生を賭けた挑戦の成果を左右する、責任重大なプロジェクト。
クライアントは美容師でもありアーチストでもある方で、自ら絵画などの創作活動も行っている美的感覚に優れた方。生半可なモノではきっと満足されないし、激戦市場である美容業界では通用しない。
頂いた注文は『廃墟を思わせるデザインにして欲しい』。
着工前の既存の壁紙を剥がすと、鉄骨造の建物にコンクリートブロックにモルタル仕上げをした間仕切り壁。これを仕上げとして生かすところから着想が始まる。
全体的に無機質なイメージで統一させる事にする。
床は既存の床を全撤去し、下地のコンクリート仕上げを表し仕上げ。
木造部分の壁面はラスカットにモルタル仕上げを施し、ポーターズペイント仕上げと組み合わせ。無彩色の仕上げで統一する。
間仕切り壁にはコンクリートブロックの素地仕上げを採用。コスト削減とデザインコードの両立を図る。
それだけではあまりにも無機質な空間になってしまう為、段上がりのシャンプーブースは無垢のオーク材で床仕上げ。唯一の有機的なブースに空間が彩られる。
美容室は明るく色温度の高い照明計画を行う事がセオリーだが、本件は居心地の良さを重視して電球色ベースの少なめの配灯。いい意味で美容室らしく無い設えとした。
店舗デザインを褒めて頂けるお声が多数聞かれ、オープン間も無く予約満席の日があるという事。
建築家としての役割は果たせたと胸を撫で下ろしている。